就業規則 労働基準法(労働法)

雇用契約書と就業規則どちらが優先されるか?~多きな誤解

御社の就業規則はきちんと内容を
把握してらっしゃるでしょうか?

「うちの会社は雇用契約書をきちんと交わしているから
就業規則は詳しく把握してないけど、大丈夫だよ」

そう思われている方はいないでしょうか?

この考え方はとても危険です。

就業規則と雇用契約所の内容が
異なっている場合は
意外な決まりごとがあります。

従業員にとって就業規則の内容より不利な雇用契約
の内容はその部分については無効となります。

つまり、就業規則よりも不利益な雇用契約書
は「その部分は」無効になるのです。

具体的に見てみましょう。

例えば、就業規則に「賞与を7月と12月に支給する
となっていたら、

雇用契約書で「あなたには賞与は支給しません」
と規定しても無効になります。

就業規則の内容よりも不利益な雇用契約
の内容は無効だからです。

つまり、賞与は支給しないといけません。

しかし、逆に就業規則には「賞与は支給しません」
と書いてあった場合には、

「あなたには賞与を7月と12月に支給します」
という雇用契約書は認められます。

就業規則よりも有利な内容の雇用契約
は有効だからです。

具体例はあくまで話をわかりやすくする
ためのものですので、

このような規定の仕方はしないでくださいね。

しかし、この考え方はとても大切です。

就業規則を作成する際には就業規則とは何かと絡めて
必ず覚えておいていただきたいことです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

自己都合退職の申出は2週間前で良いとは限りません!

よく自己都合退職の申出は
2週間前に申し出れば良いと言われます。

しかし、己都合退職の申し出は1ヶ月前までに
しなければならない」と多くの就業規則には
書いてあったりします。

これは急な退職を抑制する抑止効果しかないと
言われたりします。

しかし、そんなことはありません。

退職の申出は民法627条に規定があります。

「2週間前」というのは民法627条第1項
に書いてあります。

■民法627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

これだけ読めば、確かに、2週間前に解約の申入れれを
すればよいように読めます。

しかし、多くの場合、日本では正社員は月給制です。

月給制の場合には、民法627条の1項ではなく、
627条の第2項が適用されることになります。

■民法627条2項
「期間によって報酬を定めた場合には、
解約の申入れは、次期以後についてすることができる。
ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。」

月給制は期間によって報酬を定めた場合に該当します。
したがって、条文をお読みいただければお判りの通り、
必ずしも自己都合退職の申し出は2週間前にすれば良い
とは限らないんですね。

2週間という数字が一人歩きしています。

誤解してらっしゃる方も多いようですので、
注意が必要です。

退職時のトラブルは1番困るところだと思いますので、
しっかりと制度を整備しておく必要があります。

そして、それと同じぐらいに重要なのは

「2週間前に退職の申出をすれば
会社を辞められるのではないですか?」

従業員の方にこのように聞かれた場合に
きちんと会社が説明できることです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

関連記事
退職の申出の撤回はできますか?
退職時のトラブルを避けるために1番大切なこと~退職届をもらうことに尽きます

労働条件通知書は仕方なく交付するものではありません

労働条件通知書を交付していらっしゃるでしょうか?

労働条件の明示は労働基準法上求められていますので
労働条件通知書は公布していらっしゃると思います。

しかし、私は、仮に、法律上
求められていなかったとしても、
会社を守るために公布した方が良い
と思っています。

口頭での約束はのちに「言った」「言わない」
のトラブルの原因になるからです。

そもそも、入社時の口約束なんて
覚えている方の方が凄いと思います。

それが5年前、10年前で
あったらなおさらです。

ですから、労働基準法で求められているから
仕方なく労働条件通知書を交付する
という消極的な理由からではなく、

トラブルを避けるという観点からも、
ぜひ労働条件通知書を
交付していただきたいのです。

就業規則と同じです。
なぜ、就業規則は会社を守るものと言えるのか? ~会社を守る就業規則とは

最後まで、お読みいただき狩りが当ございました。<

年次有給休暇の計画的付与をご存知ですか?

年次有給休暇の計画的付与という制度を
ご存知でしょうか?

実は、一定の手続を経れば、
年次有給休暇(繰越し分を含む。)のうち、
5日を超える分については、
会社は年次有給休暇の時季を
指定することができます。

これを年次有給休暇の計画的付与といいます。

労働基準法39条6項に規定がある法律上の制度です。

計画的付与には、いくつかのパターンがありますが、

やはり、一斉に取得してもらう一斉付与
のパターンが多いですね。

例えば、もし、お盆やゴールデンウィーク、
年末年始が会社の休日となっていなければ、

この時季に年次有給休暇を
社員に一斉に取得してもらうこともできます。

※なお、一定の手続とは労使協定
というものの締結です。

この場合において、
従業員は会社が特に認めた場合を除き、
労使協定に基づき年次有給休暇を
取得しなければならなくなります。

なお、計画的付与を行う場合であっても
5日は従業員の自由にしないといけません。

病欠などがあるからです。

逆に言えば、5日を超える部分については
年次有給休暇の計画的付与が可能ということです。

この計画的付与には一班別付与や班別付与などがありまして
どのパターンが良いかは会社の事情によって
違ってきますね。

この年次有給休暇の計画的付与は
労使双方にとって良い制度です。

以下の記事でその理由を書いています。
合わせてお読みください。
年次有給休暇の計画的付与(一斉付与)は労使双方にとって良い制度です

年次有給休暇は就業規則の絶対的必要記載事項ですので
就業規則への記載が必要なのは言うまでもありません。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

関連記事
当日欠勤を年次有給休暇へ振り替えることはできる?

労働者の同意を得ても無効なこと

ブログを書いていていつも思うことですが、
私はわかりやすさを優先しています。

内容は多少正確性を欠いた表現に
なっている部分もあります。

その点はご了解ください。

ところで、就業規則・労働者との(雇用)契約には

・労働者の同意を得ても無効なことと

・労働者が同意してくれれば有効なこと

この2種類があるのをご存じでしょうか?

労働基準法を初めとした労働法には
労働者が同意しても駄目なことが
主に書いてあります。

労働者が同意しても(許しても)
国が許さん!

そんな感じの法律ですね。

例えば、残業代。

残業代は支払いません。

このような契約は労働者が同意していても無効です。

支払わないといけなくなります。

しかし、無効になるだけではありません。

残業代を支払わないと場合によっては
刑罰をもって処罰されることがあります

しかし、労働者が同意してくれさえすれば、
許されることもたくさんあります。

いわゆる民事に関する部分ですね。

その辺の区別はやはり労働法に精通した
専門家でないとつかないかもしれません。

また、民法、特に契約法に関する部分
の知識も必要になります。

しかし、例えば、基本給30万円のうち
〇万円をあらかじめ残業代として支払うのは
一定の要件を満たせば認められます。

労働者の同意があっても
認められないことなのか?

労働者の同意があれば
認められることなのか?

ここをきちんと踏まえる必要があります。

なお、先ほどのいわゆる定額残業代のお話ですが、
これは民事のお話になります。

なぜ、これが民事のお話で、
きちんとした要件を満たせば
有効なのでしょうか?

きちんと理解をしておきましょう。

そうでないと、従業員の方にも
適切なご説明ができません。

応用もききません。

大切なのは結論ではなく理由です。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

保険代理店の直接雇用

保険代理店の皆様へ

「委託型募集人を抱える各保険の代理店は、
2015年3月までに、原則として、現在の募集人を直接雇用に
切り替えなければならない」
といった通知を金融庁から受けたようですね。

現在、保険関係の方から
就業規則のご相談をよく受けています。

確かに、保険代理店の方は
今まで全く考えていなかった
問題なども出てきて

専門家に聞いた方が良い問題も多いです。

既にご存知だと思いますが、
正社員にしなければならない
といった内容ではありません。

私は保険代理店の方々と
はお付き合いがあるので

説明資料等をまとめて
マニュアル化してご用意しております。

今、保険代理店がどのような対策をとる必要があるのか
を簡潔にアドバイスできるようにしています。

保険代理店では労働時間に応じた
賃金制度は馴染まないでしょう。

長時間労働をすればするほど
時間外割増賃金が増え賃金が多くなるという
現在の日本の賃金制度は馴染まないと思います。

事業場外のみなし労働時間制だと
労働時間の管理ができません。

(管理をきっちりと行うと、みなし労働時間制は駄目です。)

成果給の導入の検討も
必要になってきますね。
いわゆる歩合です。

歩合給の導入は専門的な知識と経験が必要ですが、
検討することも必要になってくると思います。

他にもフレックスタイム制も
検討する必要があるかもしれません。

いずれにせよ、導入の手続が面倒なものご多く、
あとでトラブルになりそうです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

関連記事
歩合給にも割増賃金の支払いが必要ですが、計算方法が違います
完全歩合給って違法ですか?

労働法の重要な法改正が続いています。

労働契約法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法、パートタイム労働法

法改正が続いています。

これらの法改正の内容

きちんとご理解していただいているのでしょうか?

人事部があり、それなりの従業員数の会社であれば
もちろんご理解いただいていると思います。

しかし、常に人手不足の会社では詳細な内容までは
ご理解いただいていないのではないかと思います。

例えば、以前高年齢者雇用安定法関係。

最近就業規則の改定の仕事のご依頼をいただくと、
定年が65歳になっている会社が非常に多いです。

「定年は65歳まで延長されたわけではないのですが、ご存知ですか?」
とお聞きすると、たいていはご存じないのです。

65歳になったと聞いたので65歳にしたという会社が多く存在しています。

また、定年が65歳まで延長されてわけではないということはご存知でも
従業員が希望した場合には従業員全員を65歳まで
必ず嘱託で再雇用しなければならないと思ってらっしゃる
会社様はとても多いです。

もちろん、65歳まで必ず再雇用するというのは素晴らしいことです。
しかし、そのようなことまで求められているわけではありません。

多くの本でも誤解をうみそうな表現が多いです。
それは、書物ですので仕方がありません。
文字で伝えるのには限界がありますからね。

労働契約法の改正も大変な問題をはらんでいます。

有期雇用が5年を超えると無期労働契約に転換するということになりました。

しかし、クーリングオフというものがお認めれております。
このクーリングオフについては会社は必ずその内容を
押さえておいていただく必要がありますが、
非常に難しい内容になっています。

内容が複雑であるから社会保険労務士に
就業規則のご依頼をしてくださる会社が
存在しているのでしょうね。

男女雇用機会均等法改正〜間接差別の意味をご存知ですか?

男女雇用機会均等法では間接差別も禁止されていますが、

この度の改正で、全ての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更にあたって、
合理的な理由なく、転勤要件を設けることは間接差別に当たることになりましたね。

大昔の就業規則を読むと間接差別の表現があったりします。

ところで、その間接差別とは何でしょう?
間接差別について解説をしたいと思います。

例えば、募集や採用にあたって、労働者の身長、体重又は体力を要件とすることも
間接差別にあたるとされています(合理的な理由があれば話は別です)。

もし、採用で男性女性の限定をつけなくても「体重を〇〇キロ以上」「身長175センチ以上」
とすると多くの女性が排除されてしまいます。

(体重については、空欄にさせていただきました。「私は〇〇キロ以上です」とお叱りを受けると困りますので…。
身長に関しては170センチちょうどの私も応募できなくなってしまいますが…。)

もし、このような要件をかすことを認めれば、
実質的に性別を理由とする差別を行うことが
可能となってしまいます。

このような性別以外の事由を要件とすることで、
実質的に性別を理由とする差別をすること。

これを間接差別といいます。

ただし、合理的な理由があれば別です。

なお、今回のお話は、あくまでもわかりやすく
用語を解説するためのお話ですので、
表現などは正確ではありません。

「合理的な理由」についてももう少し解説をする必要がありますし、
ポジティブアクションの解説もする必要があるでしょう。

しかし、今回は、間接差別というものを解説させていただくために、
正確性よりもわかりやすさを優先させて解説させていただきました。

その点はどうかご理解ください。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

労働基準法で定年延長は義務化されていません

最近、「法律で定年が65歳に延長されたじゃないですか」
と経営者の方によく言われます(聞かれます)。

少なくとも15社ぐらいに聞かれました
(お客様を除きます)。

「定年は延長されていません」
とお答えすると絶句されます。

今まで通り嘱託で65歳まで雇えばよいだけです。

その際の条件というか基準が変わっただけです。

今年の3月末日までに労使協定を締結していなければ、
基準を設けて再雇用する従業員を限定できなくなっただけです。

「それって、どう違うのですか?」と、これまたよく聞かれます。

しかし、全く違います。

本当に大きく違います。

なお、希望者全員を「必ず」65歳まで再雇用しなければ
ならないといったこともありません。

定年を延長し就業規則に規定して
しまったという会社も少なくありません。

もちろん、定年の延長は決して悪いことではありません。
良いことです。

しかし、法律を誤解して仕方なく行った
のであれば問題です。

延長する前にご相談いただければ良かったのに
と残念に思います。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。