割増賃金

年俸制のデメリット ~ほとんどの人が知らない年俸制の怖い話

年俸制にしても割増賃金の支払いは必要です。

年俸制にすると時間外割増賃金が不要になる
と思って導入を考えていらっしゃるのであれば、
それは間違いですので導入はやめた方が良いです。

そもそも、時間外割増賃金の支払いが不要な
管理監督者等に対して年俸制を導入するものです

時間外・休日の割増賃金の支払いが
不要な管理監督者であれば、
賃金の年額が(深夜を除けば)予め確定できますからね。

ただ、完全な年俸制は少なく、
通常は基本年俸と業績年俸と
分けるのが通常です。

ここまでのお話は、
この記事をお読みの方であれば、
ほとんどの方はご存知だと思います。

私がお伝えしたいことは
そのようななことではありません。

ご注意していただきたいのは
以下のことです。

年俸制というのは予め年額を定め
それを12等分や17等分にして支払うものです。

したがって、一年の途中に会社を辞めたとしても、
一年の残りの分は支払い続ける必要があるのです。

年俸制というものはそういうものです。

しかし、多くの方はご存知ありません。

もちろん、それでかまわないという
会社様は良いですが、
そのような会社様はないと思います。

そこで、1年の途中で会社を辞めた場合の取り扱いを
就業規則(年俸制規程)に記載しておく必要があります

御社の年俸制規程には
その記述はあるでしょうか?

ご確認ください。

年俸制は年額を保証するので
従業員によっては、ありがたいでしょう。

また、賃金を年額で示しますので、
賃金の多い会社にとっては良い人材を
採用するのに効果的かもしれません。

そういう観点から導入するのであれば
大変良いことだと思いますが、

年俸制とはどういうものかを
きちんとお話をさせていただくと、

大抵の会社様は年俸制の導入は
おやめになります。

なお、IT企業では専門業務型裁量労働制を
導入している会社が多いために
年俸制を導入している会社様も多いです。

しかし、それでも、多くの会社様は
導入をおやめになります。

●IT企業の方は以下の記事も合わせてお読みください。
IT企業の就業規則~裁量労働制、休職制度、職場復帰プログラム

最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事
年俸制にまつわる疑問(残業代の支払い、メリット、想定した社員)

割増賃金を計算する際に算定基礎から除外して良い手当は決まってます

割増賃金の1時間の単価を計算する際に
手当を除いてよいかという問題があります。

除いてよい手当は決まっています。

1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女手当
5.住宅手当
6.臨時に支払われる賃金
7.1か月を超えて支払われる賃金

以上に限定されています。

就業規則に記載しても上記手当以外は
割増賃金の算定基礎に入れなければなりません。

上記手当が割増賃金を計算する際に
除外しても良い理由については
きちんとした理由があります。

例えば、通勤手当を含めて時給単価を計算しないといけない
ということになったらどうなるでしょうか?

会社から遠い人ほど、残業代の単価が高くなる
というおかしなことになってしまいます。

家族手当も同じです。

ご家族が多い人ほど家族手当が多くなるのはわかりますが、
残業をしたときの1時間の単価が高くなるというのはおかしいです。

そこで、除いてよいということになっています。

この割増賃金の計算をする際に除いてよい手当は、
よく労働基準監督署の調査で指摘される部分です。

なぜ、上記以外の手当でも割増賃金を出す際に
除いてよいと誤解する会社が出てくるのでしょうか?

それは、「手当」という名称に原因がある
のではないかと私は思っています。

「手当」という名称だと「福利厚生」
のような印象を与えてしまうからだと思います。

しかし、それは認められません。

そのようなことが認められてしまえば、
手当という名称をつけ割増賃金の時給単価を
下げることが可能になってしまうからです。

それは、先ほどの表にある手当でも同じです。

例えば、住宅手当という名称がついていれば、
全て割増賃金の単価を計算する際に除いてよい
わけではありません。

除いてよい場合がきちんと決められているのです。

先ほどの除いてよい趣旨(理由)に照らしていただければ、
ご理解いただけると思います。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

定額残業代に対する大きな誤解 

定額残業代は既に改めて解説をする必要もないほど
多くの企業で導入している制度です。

導入していない場合も、
どのような制度かはご存知でしょう。

一定額をあらかじめ残業代として
支払うというものです。

固定残業代と言われることもあります。

例えば、2万円(10時間分)を
あらかじめ残業代として
支払うというようものです。

基本給に組み入れるパターンもありますし、
手当として支払うというパターンもあります。

実は、この制度には大きな誤解があります。

この制度は、例えば2万円まで
(又は10時間まで)残業代が
でないという制度ではありません。

たとえ1時間も残業をしない月でも
2万円分(又は10時間分)は残業代を
あらかじめ支給するという制度なのです。

それを超えた分については
追加で全額支給しないといけないので、

直接的には会社にとって
残業代削減(対策)にはなりません。

そもそも残業代をできるだけ
少なく支給したいのであれば、

働いた時間数分を払えば
最も額が少なくなります。

「あらかじめ〇万円(〇時間数分)を支給します。
それを超えたらその時間数分を支給します。」

このような制度が直接的な残業代削減に
つながるはずがありません。

考えれば当たり前のことです。

それは、手当として支給しても、
基本給の中に組み込む方式であっても
同じです。

いわゆる定額残業代は
以下のような目的から支給するものです。

➀残業が少ない会社は毎月の給与額が
変わることがなくなります。

➁残業してもしなくても変わらないなら、
残業せずに時間内に仕事を終わらせよう
と頑張ります。

その結果、「残業自体が減る」ことになり、
結果として残業代が減ることにはなります。

➁は残業問題を解決する一つの方法で
あるかもしれませんが、

同じ時間働いたまま残業代を
直接的におさえる制度ではないのです。

最後まで、お読みいただいありがとうございました。

追記・関連記事
定額残業代に厳しい判決が続いています~定額残業代導入でのポイント
定額残業代に対する判例の傾向
定額残業代が裁判で否定された場合、どうなるか? ~残業代の計算方法!

歩合給にも割増賃金の支払いが必要ですが、計算方法が違います

歩合給は「出来高払い制その他の請負制 によって
定められている賃金」に該当します。

歩合給(出来高払い制)などを会社として
導入している会社は多いと思いますが、
歩合給に対しても残業代の支払いが必要です。

歩合給の割増賃金の計算方法

しかし、その割増賃金の計算方法は
通常の賃金の計算方法とは違います。

歩合給の場合は通常の計算方法と異なり
割増賃金が圧倒的に少なくなります。

その計算方法を正確にご存じの方は
非常に少ないので解説させていただきます。

歩合給の割増賃金の計算方法が違う
というのは「必ず」覚えておいてください。

歩合給の割増賃金の計算方法は以下のような扱いになります。
まずは、ご覧ください。

「賃金が出来高払い制その他の請負制(歩合給)によって
定められている労働者に関しては、時間外労働があった場合でも、
通常賃金部分(100%)は既に支払われているため、
100%部分の賃金の支払いは不要である。」

つまり、出来高払い制その他の請負制(歩合給)によって
定められている賃金ということになれば、

時間外労働をした場合の時給部分である
「1」の支払いが不要になります。

割増賃金として0.25の支払いのみで
かまわないということです。

しかも、出来高払い制その他の請負制(歩合給)
によって定められている賃金については、

「賃金計算期間において、出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、
当該賃金算定期間における総労働時間で除した金額に…」
となっています。

つまり、割増賃金を計算する際に、会社の所定労働時間で割るのではなく
総労働時間で割ることになっています。

例えば、会社の所定労働時間が170時間で、その従業員の残業時間が60時間だった場合には、
170時間ではなく230時間で「出来高払い給」を割って
時間外労働の割増賃金を計算するということです。

歩合給の割増賃金の計算方法が他の賃金と違う理由

なぜ、このような計算方法になっているのかというと、
出来高払い制その他の請負制(歩合給)
によって定められている賃金は
仕事の成果に対して支払われるものだからです

賃金が歩合給で支払われている労働者は
時間外労働があった場合にも、

通常の賃金部分(100%の部分)は
既に(歩合給という)賃金として支払われているために、
100%の部分についての支払いは不要
だということです。

したがって、0.25の割増部分のみの支払いで良くなりますし、
230時間で割れば良いということになります。

年俸制のように成果主義賃金として
まったく意味をなさない制度とは違い、
成果主義賃金の一つの形態です。

歩合の設定の仕方は「自分でとってきた仕事の〇%」
という以外にもいろいろ考えられますので
会社にピッタリの歩合の設定を考えましょう。

なお、歩合給を導入は就業規則作成(賃金規程作成)し、
そこへ記載しておくことが必要なのは言うまでもありません。

年俸制が成果主義賃金としてまったく意味をなさないというのは
↓↓↓以下の記事で書いています。
年俸制にまつわる疑問(残業代の支払い、メリット、想定した社員)

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

その他の関連記事
完全歩合給って違法ですか?

管理職手当の中に 深夜割増賃金を含めることは可能か?

先日、このブログで管理監督者であっても
深夜労働に対する割増賃金の支払いは必要
だと書きました。

管理監督者にも割増賃金の支払いは必要です

ただ、管理監督者に対しては
会社は管理職手当を
支払っているでしょう。

そこで、この管理職手当の中に
一定時間(金額)の深夜労働に対する
割増賃金分を含むという方法も可能です。

しかし、この「◯時間分を深夜割増賃金とする」
という方法は手続や運用を間違えると認められなくなる
ことがあります。

これはいわゆる定額残業代の問題になりますので、
同様の手続・運用が必要です。

厳密にきちんと行っていただきたいところです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

雇用契約書と就業規則どちらが優先されるか?~多きな誤解

御社の就業規則はきちんと内容を
把握してらっしゃるでしょうか?

「うちの会社は雇用契約書をきちんと交わしているから
就業規則は詳しく把握してないけど、大丈夫だよ」

そう思われている方はいないでしょうか?

この考え方はとても危険です。

就業規則と雇用契約所の内容が
異なっている場合は
意外な決まりごとがあります。

従業員にとって就業規則の内容より不利な雇用契約
の内容はその部分については無効となります。

つまり、就業規則よりも不利益な雇用契約書
は「その部分は」無効になるのです。

具体的に見てみましょう。

例えば、就業規則に「賞与を7月と12月に支給する
となっていたら、

雇用契約書で「あなたには賞与は支給しません」
と規定しても無効になります。

就業規則の内容よりも不利益な雇用契約
の内容は無効だからです。

つまり、賞与は支給しないといけません。

しかし、逆に就業規則には「賞与は支給しません」
と書いてあった場合には、

「あなたには賞与を7月と12月に支給します」
という雇用契約書は認められます。

就業規則よりも有利な内容の雇用契約
は有効だからです。

具体例はあくまで話をわかりやすくする
ためのものですので、

このような規定の仕方はしないでくださいね。

しかし、この考え方はとても大切です。

就業規則を作成する際には就業規則とは何かと絡めて
必ず覚えておいていただきたいことです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

労働者の同意を得ても無効なこと

ブログを書いていていつも思うことですが、
私はわかりやすさを優先しています。

内容は多少正確性を欠いた表現に
なっている部分もあります。

その点はご了解ください。

ところで、就業規則・労働者との(雇用)契約には

・労働者の同意を得ても無効なことと

・労働者が同意してくれれば有効なこと

この2種類があるのをご存じでしょうか?

労働基準法を初めとした労働法には
労働者が同意しても駄目なことが
主に書いてあります。

労働者が同意しても(許しても)
国が許さん!

そんな感じの法律ですね。

例えば、残業代。

残業代は支払いません。

このような契約は労働者が同意していても無効です。

支払わないといけなくなります。

しかし、無効になるだけではありません。

残業代を支払わないと場合によっては
刑罰をもって処罰されることがあります

しかし、労働者が同意してくれさえすれば、
許されることもたくさんあります。

いわゆる民事に関する部分ですね。

その辺の区別はやはり労働法に精通した
専門家でないとつかないかもしれません。

また、民法、特に契約法に関する部分
の知識も必要になります。

しかし、例えば、基本給30万円のうち
〇万円をあらかじめ残業代として支払うのは
一定の要件を満たせば認められます。

労働者の同意があっても
認められないことなのか?

労働者の同意があれば
認められることなのか?

ここをきちんと踏まえる必要があります。

なお、先ほどのいわゆる定額残業代のお話ですが、
これは民事のお話になります。

なぜ、これが民事のお話で、
きちんとした要件を満たせば
有効なのでしょうか?

きちんと理解をしておきましょう。

そうでないと、従業員の方にも
適切なご説明ができません。

応用もききません。

大切なのは結論ではなく理由です。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

保険代理店の直接雇用

保険代理店の皆様へ

「委託型募集人を抱える各保険の代理店は、
2015年3月までに、原則として、現在の募集人を直接雇用に
切り替えなければならない」
といった通知を金融庁から受けたようですね。

現在、保険関係の方から
就業規則のご相談をよく受けています。

確かに、保険代理店の方は
今まで全く考えていなかった
問題なども出てきて

専門家に聞いた方が良い問題も多いです。

既にご存知だと思いますが、
正社員にしなければならない
といった内容ではありません。

私は保険代理店の方々と
はお付き合いがあるので

説明資料等をまとめて
マニュアル化してご用意しております。

今、保険代理店がどのような対策をとる必要があるのか
を簡潔にアドバイスできるようにしています。

保険代理店では労働時間に応じた
賃金制度は馴染まないでしょう。

長時間労働をすればするほど
時間外割増賃金が増え賃金が多くなるという
現在の日本の賃金制度は馴染まないと思います。

事業場外のみなし労働時間制だと
労働時間の管理ができません。

(管理をきっちりと行うと、みなし労働時間制は駄目です。)

成果給の導入の検討も
必要になってきますね。
いわゆる歩合です。

歩合給の導入は専門的な知識と経験が必要ですが、
検討することも必要になってくると思います。

他にもフレックスタイム制も
検討する必要があるかもしれません。

いずれにせよ、導入の手続が面倒なものご多く、
あとでトラブルになりそうです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

関連記事
歩合給にも割増賃金の支払いが必要ですが、計算方法が違います
完全歩合給って違法ですか?

会社を守る就業規則セミナーを行いました。〜会社を潰す就業規則とは

 

 

 

 

 

 

 

7月30日に中小企業家同友会杉並支部で就業規則セミナーを行いました。

参加登録者数35名。

大変たくさんの方にお越しいただきました。

今回は、賃金の部分を中心に解雇と懲戒についても
お話をさせていただきました。

具体的な規定例をあげ、駄目な点を
指摘していくという内容でした。

基本的な内容ですが、
経営者に知っておいていただきたいことを
お話させていただきました。

基本的であっても全てをご存知の方は
10人中1人もいないと思われる内容を選びました。

そして、今回は従業員のモチベーションアップについても
お話をしてくださいと依頼を受けておりましたので、
三つの方法をご紹介させていただきました。

途中で10分間の休憩を取る予定でしたが、
気がついてみると2時間話しっぱなしでした。

セミナー終了後の懇親会では弁護士の先生が
たくさんメモをとっていてくださっていたりしたのがわかり
嬉しくなりました。

なお、セミナーでお話をさせていただいた内容は
こまなくお話すると以下のテーマです。
割増賃金、変形労働時間制、 定額残業代、 懲戒、 成果給、 残業代
裁量労働制、 解雇、賃金規程、退職、解雇、退職勧奨

最後までお読みいただきありがとうございました。

就業規則ホームページを改良しました。

ホームページを改良しました。
読みやすくしました。
就業規則に特化したホームページです。

9割の就業規則はリスクを抱えていますというキャッチですが、
当事務所で就業規則のリスク診断を受けていただくと
たいてい直した方が良いという箇所がAランクだけでも数十箇所見つかります。

プロに作成していただいたあとなどの例外を除けば、見つからなかった会社は皆無です。

とりわけ賃金、解雇、懲戒の部分はほとんどの会社でリスクを抱えています。

厳しい就業規則は、真面目に働いている従業員を守ることにもなります。

また、会社が大きな決断をする際にも必要になってきます。

なお、私の事務所の仕事はクライアントが『現在』抱えている課題を解決することです。

就業規則の整備はそのために必要な手段にすぎません。

クライアントが現在抱えている課題で解決したうえで、

『将来』起きるかもしれないリスクにも対応できるようにしましょう!
というのが就業規則の診断です。

そんなわけで解決したい課題が明確であればあるほど良い就業規則が出来上がります。

しかし、ご安心ください。

漠然とした悩みもヒアリングをしていく中で明確にします。

ここが不十分ですと提供する側の「きっとお客様はこんなことを望んでいるのではないか?」
という勝手な思い込みのもとに出来上がった就業規則になります。

当たり前のことですが、そういう意味でも就業規則の作成で最も大切なのは聴く力だと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。