業際問題

就業規則は社会保険労務士の独占業務か? ~業際問題について私が思うこと

いわゆる業際問題というものがあります。

士業には独占業務というものがありますので、
〇〇の業務は社会保険労務士の独占業務か?
というのが他士業との間で争わることがあります。

就業規則についてもそのような争いが起きたりします。

社会保険労務士法27条により就業規則の作成
が社会保険労務士の独占業務か?という問題です。

ここで、就業規則が社会保険労務士の独占業務か?に関して
私はコメントをするつもりはありませんが、

一つ必要な視点が抜け落ちているのではないか?
と思うことがありますので、

そのお話をさせていただきます。

就業規則を作成していると、その過程で、
労使協定を結ぶ必要がでてくることがあります。

労使協定とは何か?については以下の記事をお読みください。
労使協定とは何か~就業規則との違いをご説明できますか?

例えば、休日は就業規則の絶対的記載事項です。
就業規則に記載しないといけません。
言うまでもないことですね。

しかし、完全週休二日制が難しい会社も中にはあります。

そのような会社の場合は、1年単位の変形労働時間制
という制度を導入することもでてきます。

その場合には、1年単位の変形労働時間制の
労使協定という『労使協定』を締結し、
労働基準監督署へ提出する必要があります。

この1年単位の変形労働時間制等の労使協定
を締結する会社は全体から見ると少数かもしれませんが、

労使協定の中にはほとんどの会社が
結ばないといけないものもあります。

例えば、社員に時間外労働を行わせる場合には
36協定という労使協定を締結し労働基準監督署
へ提出する必要があります。

時間外労働をさせない会社は少数でしょうから
36協定の締結・提出はほとんどの会社で必要になります。

さて、これらの労使協定については社会保険労務士
の業務であることに争いはないでしょう。

つまり、仮に、就業規則を社会保険労務士
以外が作成することが法律上認められたと仮定しても、

その過程で作成が必要になってくる書類である
労使協定の作成・提出は法律上社会保険労務士の業務です。

就業規則の作成をご依頼するということは
自社では作成できないと判断したから、
専門家に依頼したのだと思います。

それにもかかわらず、「就業規則の作成の過程で
必要になってくる労使協定は自社で作成し、
なおかつ、労働基準監督署へ提出してください」
というのではお客様へのサービスという観点からは
どうなのでしょうか?

(なお、労使協定の中には労働基準監督署への提出が不要なものもあります。)

また、例えば、最近は、在宅勤務を認める企業が増えてきています。

しかし、在宅勤務者が雇用保険に加入するためには
ハローワークに提出しないといけない書類等もあります。

また、就業規則には退職の事由を記載する必要がありますが、
解雇と自己都合退職の違いで基本手当の扱いが違ってきます。

雇用保険の手続は企業に(自社で)行ってもらうにしても、
(当事務所もそのような形をとっています)
雇用保険の知識自体がないのでは困るでしょう。

そういう様々なことを考えると、
「就業規則の作成は社会保険労務士の独占業務か?」
という話を抜きにしても、

就業規則に関しては社会保険労務士が
作成するのがお客様へのサービスという点
では自然なのかなと私は思います。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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他の士業(行政書士)との間で
争いになったようですね。
月刊社労士11月号に載っておりました。

しかし、社労士法27条以前の問題として
思うことがあります。

開業以来、私はほとんど就業規則と
その関連業務だけで事務所の運営を
してまいりました。

売上の9割を占める事務所として
かなり多くの就業規則を作成してきた
と思います。

その上でお話させていただきますが、
決して楽な仕事ではありませんということです。

「どうやったら、就業規則の仕事をそんなに取れるのですか?」
と同業者からよくご質問されます。

1年に10社新規で作成し続けている事務所
など極々少数なのが就業規則の業務です。

それほど、受注するのが大変な業務です。

理由ははっきりしてます。

●弁護士の先生が進出
してきていて、真っ向から張り合える知識・経験が必要です。
実際に、弁護士の先生が行っていなくても
事務所に社会保険労務士を雇用している事務所も多いです。

●企業の機密情報を扱う
ためにどこの馬の骨だかわからない人間に依頼しようとは思いません。

それがクリアできるまでは継続的に仕事が入ってくる
流れをつかむのは中々難しいです。

●極めて高度な知識が必要
生半可な知識では仕事になりません。
会社には総務部があります。
何年、何十年と人事・総務で働いてきた人がいます。
それでも、自社で対応できないと思うからこそ
それなりのお金を払って依頼をしてくださいます。

少し調べれば自社で作成できる程度のものに対しては
お金は出せないでしょう。

●法律は多岐に渡り、しかも頻繁に改正
されます。そして、内容はとても複雑です。
弁護士の先生でも労働法は(通達等が)細かすぎると仰います。

●知識を常にアップデートする必要
数年前の知識では、浦島太郎状態ですので、
常に知識をブラッシュアップし続けなければなりません。
しかし、試験に受かった程度の知識では全く実務には対応できません。

他の業務の片手間にできるものではありません。

●答えのない問題
従業員の問題が絡むので答えがないこもが多く、
判断に悩みます。

●センシティブな問題
しかも、とてもセンシティブで神経を使います。
メンタルヘルスや解雇等を考えてみてください。

●ちょっとのミスが致命的
そもそも、何十ページにもわたる書面で
細かいにもかからわらず
ちょっとのミスが致命的なことになりかねません。

●誰がやっても同じという社会通念
医師や弁護士は先生によって大きく結果が変わる
という社会的認識があるにもかかわらず、
就業規則なんて誰に依頼しても同じ
だと思ってらっしゃる方も多いのは事実です。

そこで、自分でその認識を覆す実力を
示すしかありません。

これを専門でやっていると
「対応できませんと他の事務所に断られました」
といった理由でのご依頼も多いです。

現在3割ぐらいです。
専門家ですら「対応できない」と仕事を断る方が
たくさんいるほど難しい仕事も多いのです

●値下げ合戦
それほど大変な業務にもかかわらず
インターネット広告の世界では
値下げ合戦となってきています。

どうみても赤字としか思えない超低価格で
提供している事務所が出てきています。

就業規則を入り口に顧問契約につなげたい
ということなのかもしれません。

しかし、それでも、多くの事務所が
1年もたたずにインターネット広告から
撤退していきます

隣の芝は青く見える気持ちはわかります。

私も新人の頃には「他の資格を取ろうかな」とか
「他の業務をやろうかな」と思ったことがあります。

しかし、今は研修をのぞき、
そのようなことは全く思いません。

何の仕事をやっても大変です。

自分が使命に燃えることができて、
かつお客様のお役に立てることを
一生懸命にやるのが一番だと思います。

大変なことばかり書いてきましたが、
就業規則の業務はとてもやりがいがあります。

お客様に「ありがとうございます」と言っていただけます。

これからも、この業務を頑張っていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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