定額残業代に対する判例の傾向

以前も書かせていただきましたが、
定額残業代には厳しい判決が続いています。

「もう、これから新たに定額代を導入するのは
どうなのかな?」

そう思っていました。

経営者団体で多くの時間を共にしてきた
弁護士の方も「定額残業代は終わった」
とキッパリと主張しています。

裁判で定額残業代自体が否定されたわけではないので、
「それは言いすぎなのではないか?」とは思いますが、

労働者の代理人として多くの裁判をやっている
経験からくるお話は頷ける部分も多いです。

では、定額残業代はもう求められないのでしょうか?
そんなことはありあません。

定額残業代の法的な有効性

この定額残業代は、きちんと要件さえ満たせば、
労働基準法(労働基準法37条)に
違反するものではありません。

また、民事の裁判においても
「定額残業代の制度自体」が最高裁判決で
否定されたわけでもありません。

これ自体は、争いのない事実です。

就業規則(賃金規程)に
記載しておくのは当然として

要件さえ満たしていればいまだ法的に有効です。

そもそも、定額残業代は従業員の方にとって
利益こそあれ不利益ではないはずのものです。

本来の趣旨通りの使い方をしていれば
裁判になるはずのない制度です

定額残業代が否定された事案を読めば、
「確かに、これでは認められないのでは…」
と思うものが多く、

そう考えるとまだまだ定額残業代は
導入の検討の余地のある制度
なのかもしれません。

残業が減ること(残業削減)により、
結果として残業代削減につながる
ことは確かですからね。

認められないであろう定額残業代の具体例

なお、以下のような雇用契約書を結んでいる
会社様はないでしょうか?

基本給25万円(うち時間外割増賃金3万円)
基本給23万円 定額残業代3万円

もし、これ以上のご説明が雇用契約書のどこにもないのであれば、
このような雇用契約書は今後認められる可能性は低くなりました。

もし、万一、そのような雇用契約書を結んでいる場合には
今すぐにでも従業員の皆様にご説明しきちんと整備しましょう。

一般的な話として、過去、有効とされていた制度であっても
時代とともに、否定されたり、要件が厳しくなったりすることはあります。

この定額残業代は、まさに、それに該当します。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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