当日欠勤を年次有給休暇へ振り替えることはできるか?~事後の振替にならないのか?

「今日、会社を休みます。有給を使います」

当日の朝に電話してきて
有給消化をする従業員がいて困る
というご相談を受けます。

有給休暇を取得するのに理由は問えませんが、
事前に申請をしてもらうことはできます。

できますというより、
当たり前ですよね。

きちんと、事前申請のルール化を
明確化しましょう。

その事前についてですが、

「業務開始前であれば当日だって
事前の申請になるのではないですか?」

そのように仰る従業員の方がいます。

しかし、当日の朝に連絡して
「今日休みます。有給でお願いします」
は事前申請になりません。

なぜなら、休暇は1日単位で与えるものだからです。

1日とは0時~24時です。

そのような理由から業務開始前であっても
当日なら事後に変わりありません。

この1日の考え方は他にも当てはまりますので、
覚えておいてください。

例えば、休日も同じです。

始業の時刻からカウントするのではありません。
0時~24時までの24時間です。

例えば、週に1日の休日を与えないといけないとなっていますよね。

話がそれましたので元に戻します。

もし、会社が従業員の事情を聞き
振替を認めるのであれば別ですが、

困るのであれば、「原則として事後の振替は認めない」
と就業規則で規定しておくことが必要です。

きちんとした規則として明文化されていることと
上記のような法律的な説明をできることが大切です。

会社が勝手に作った法的に無効な規則だと
思われないようにしましょう。

なお、社内ルールを作成するときに、
社員の皆さんに法的な説明ができるように
することは本当に大切です。

今回は、事前申請というお話をしましたが、

現在、多くの会社は単に、
「事前に申請しなければならない」
と規定しているのではなく、

以下のように就業規則でルールを
作成していると思います。

「有給休暇の申請は遅くとも〇日までに行わなければならない」

しかし、この場合も、以下のように
会社に言ってくる社員の方がいるようです。

「年休って好きなときにとれるんですよね?
なぜ、〇日前に申請しないといけないんですか?」

社員の方は、労働基準法39条5項のことを
仰っているのでしょう。

労働基準法39条
5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

確かに、年次有給休暇は、基本的に、
社員の請求する時季に与えないといけません。

その一方で、
「有給休暇の申請は遅くとも〇日までに行わなければならない」
というルール(就業規則の条文)を設けることは問題ありません。

言うまでもないことです。

しかし、法的に問題がなくても、

このような質問が社員からあったとき、
きちんと、社員に説明できるようにしておくことは
本当に大切なことです。

もし、質問をされて返答に詰まってしまうと、
「会社は、やってはいけないことをしているのではないか?」
と思われてしまいます。

それは、好ましいことではないですよね。

それに、きちんと社員の求めに応じて、
法的な観点からもご説明をしたら、

その方もルールを守らざるを得ないですよね。

社員からのご質問には何事に対しても、
ご説明をできるようにしておきましょう。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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