従業員の労働条件を就業規則で従業員の不利益に変更することはできるのか?

「就業規則の不利益変更」という言葉を
聞いたことはあるでしょうか?

この問題は、正確に言うと、
「従業員の労働条件を就業規則で従業員の不利益に
変更することはできるのか?」という問題です。

例えば、夏休みを会社の休日としていたのを
就業規則を変更して所定労働日とするなどです。

これの何が問題なのでしょうか?

就業規則は会社が作成することになっています。

もし、就業規則の変更で従業員の労働条件を不利益に変更
することができれば、

従業員の労働条件を会社が一方的に変更することが
できるようになってしまいまうことになります

そんなことを認めて良いのか?
という疑問が生じますよね。

この就業規則の不利益変更の問題は
労働基準法には規定がありません。

労働契約法に規定があります。

労働契約法第9条(就業規則による労働契約の内容の変更)
「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。」

つまり、原則として従業員の同意がなければ
できないということです。

ここでいう従業員の同意とは、
代表者の同意という意味ではありません。
従業員の個々人という意味です。

中々、困難な話ですよね。

先ほどの夏休みの話は、この場合に当たります。

したがって、変更には原則として、
使用者と従業員の合意が必要になります。

従業員といえども、法律上は会社と対等の立場で
契約をしていることになります。

そもそも、契約当事者(会社)の一方的な都合
で契約の変更はできません。

したがって、原則として合意が必要なのは当然でしょう。
この9条が原則です。

就業規則を作成する際には、1行1行慎重に行う
必要があるのはこのためです。

しかし、労働契約法9条に、
「だたし~」とあることから
例外があるということがわかります。

つまり、従業員の同意を得なくても、
就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更
することもできることがあるということです。

その例外が労働契約法10条です。

労働契約法10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

労働契約法10条を箇条書きで整理すると以下の通りとなります。
➀その(不利益な)変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
・ 労働者の受ける不利益の程度
・ 労働条件の変更の必要性
・ 変更後の就業規則の内容の相当性
・ 労働組合等との交渉の状況
➁労働者に変更後の就業規則を周知させること。

(これには更に但し書きがありますが、
話が複雑になりますのでその話はおいておくとします。)

◎ポイントは「合理的」です!

上記の事情に照らして合理的な変更と言えれば、
従業員の個別の同意を得なくても、
就業規則の変更によって従業員の労働条件を
不利益に変更することが可能になるということです。

「合理的」と言えるかどうか誰が判断するか?
という疑問が生じますよね?

この労働契約法は法律名に「契約」
と入っていることからもわかる通り、
民事の法律です。

違反をすると、刑罰がかされる労働基準法を
はじめとした取締法規とは違います。

従業員から不利益な変更だと訴えられた場合に、
合理的かどうかを公正中立な立場の裁判所が判断
することになります。

なお、「会社の規則(服務規律)を厳しくするのは
不利益な変更にならないのですか?」
というご質問をいただくことがあります。

服務規律は通常は労働条件ではないので、
不利益変更の問題は原則として生じませんが、

変更後の内容が問題視されることはありえます。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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