完全フレックスタイム(フルフレックスタイム)制の問題点(デメリット・弊害)~コアタイムのないフレックスタイム制

完全フレックスタイム制とはコアタイムのない
フレキシブルタイムのみの制度を言います。

コアタイムとは必ず働かないといけない時間のことです。

完全フレックスタイム制と言っても、
極端に始業・終業時刻の幅の長いパターン(以下のパターンA)から
ある程度の時間の幅に限ったパターン(パターンB)もあります。

パターンAフレキシブルタイム:5時~22時 休憩時間12時~13時
パターンBフレキシブルタイム:8時~20時 休憩時間12時~13時

ただ、いずれにせよ、始業から就業の時刻
の間には12時間ほどの幅はあるのが通常です。

8時間の前後2時間はなければ
フレックスタイム制の意味がないからです。

しかし、完全フレックスタイム制は
問題点やデメリットが多すぎます。

今回は、完全フレックスタイム制
のデメリット・問題点について解説します。

フレックスタイム制のデメリットについて

完全フレックスタイム制の前に、
そもそもフレックスタイム制自体にデメリットが多いです。

もちろん、メリットもあるのですが、
デメリットが本当に多い制度です。

以前に書いた以下の記事をお読みください。

当ブログでトップ3に入る人気記事です。
フレックスタイム制の弊害と対策(メリットとデメリット)

上記の記事をおよいただければ、
「完全フレックスタイム制」のデメリット
もよくご理解いただけると思います。

(1)月単位で労働時間管理をすることは想像以上に難しい

完全フレックスだとさらに難しくなりますね。

(2)一部の社員に導入すると不満が出る

完全フレックスタイム制のみの働き方
の会社はないでしょうから、
この問題は拍車がかかりますね、

(3)みんな夜に出てきて朝出社してこなくなるのでは?逆に、深夜に会社で仕事をする社員が出てこないか?

完全フレックスタイム制を採用している企業で、
この問題を気にする会社は少ないかもしれませんが、
フレックスタイム制の時間を工夫すれば、
この問題は対処できますね。

(4)早出・居残り残業命令の問題

コアタイムのある通常のフレックスタイム制であれば、
早出残業・居残り残業という発想が必要ですが、
完全フレックスタイムの場合には、
「この時間に働いてくれ」という命令が出るか?
という問題になります。

(5)全社員が同じ時間に働くというメリットは思いの外大きい

「この時間にいてくれないと困る」という会社は
完全フレックスタイム制は導入しないでしょうが、
逆に言うと、そのような時間帯がある会社は導入は無理です。

(6)コミュニケーション不足の原因になりかねない

コミュニケーション不足の問題は拍車がかかりますね。

(7)いったん導入すると、廃止には社員の皆様の強い反対を受ける

特に、新入社員を採用する際にフレックスタイム制を
会社のウリにしていた場合などは問題が生じます。

こう見てくると、フレックスタイム制のデメリットが
完全フレックスタイム制になると拍車かがかります。

働時間管理がさらに難しくなりますし、
コミュニケーションの問題も生じます。

その他の問題も深刻化します。

完全フレックスタイム制で考えないといけない問題

しかし、完全フレックスタイム制には
通常のフレックスタイム制ではあまり考えなくてもよい
少し変わった問題が生じます。

特に、パターンAのような
1日のフレキシブルタイムが長い場合に問題が生じます。

所定労働日に働かないことが可能になる(週3~4日勤務が可能)

会社の所定労働日が5日(月~金)であっても、
週3~4日しか働かない方が出てきた場合、
どうなるでしょうか?

先ほどのパターンAとBをご覧ください。

パターンAは1日15時間働くことが可能です。
パターンBは11時間働くことが可能です。

そうなると、週に3日~4日しか働かなくても
1カ月の所定労働時間の労働をクリアすることが可能
になってしまいますよね。

もちろん、会社の所定労働日(例えば、月~金)を定めたなら、
その日に出勤しなければ欠勤にはなります。

勝手に欠勤して良いわけがありませんが、

「完全フレックスタイム制なのだから、
労働時間がゼロ時間の日があっても良いはずだ」
と考える社員が出てきてもおかしくありません。

もちろん、そんなことはダメですよ。

あくまでもフレックスタイム制は
始業・終業の時刻を社員に任せる制度なので、
会社の所定労働日には働くのを前提にしているからです。

しかし、そのような社員が出てきたら、
困ります。

特に、副業を認めている会社だと大変です。

そこで、欠勤の取り扱いを
労使協定に定めることになりますが、
一つ問題が生じます。

欠勤の対処方法

当然のことなのですが、

欠勤しても月の所定労働時間を働いていたら
賃金は控除できないという問題です。

もちろん、賃金の控除はできなくても、

欠勤は懲戒処分の対象とすることが可能です。
査定の対象にすることも可能です。

当然のことですよね。

それらをフレックスタイム制の労使協定
に記載しておきます。

更に、欠勤等を一定日数以上した場合、
フレックスタイム制を解除することができる
ように労使協定で定めることも必要です。

しかし、企業の担当者と話していて、
そのような規定を労使協定に設けることに消極的な方が多いです。

理由を伺うと次のように仰います。

「欠勤しても賃金を控除されないと社員が知ると、
フレックスタイム制が崩壊する」

「フレックスタイム制の適用は部署ごとに行っているので、
一人だけ解除できない」

労使協定に記載しようがしなかろうが、
欠勤控除はできないのですから、
前者の理由はあまり意味はないと思いますが、

確かに、後者の理由は問題ですね。

これについては対処のしようがありません。

退職時の問題

さすがに、「欠勤しても良いだろう」と考える方はほとんどいませんが、
「週の前半(月火)は1日15分しか働かない」
という実質上週3日勤務の社員が出てくることは
当然想定しておかないければなりません。

他にも、月の上旬は15分しか働かないとかですね。

完全フレックスタイム制を導入した以上、
当然ことですよね。

それが困るのであれば完全フレックスタイム制
を導入することはできません。

「別に、問題はない」と思われるかもしれませんが、
本当でしょうか?

あえて、ここで、詳細な事例を書くことは控えますが、
このような働き方が可能だと退職時に問題が生じます。

完全フレックス体制の問題点・デメリットまとめ

いかがだったでしょうか?

フレックスタイム制はコロナ禍になり、
在宅勤務と一緒に導入する会社が増えましたが、

そもそも、フレックスタイム制自体が
デメリットが多い制度です。

完全フレックスタイム制は、
通常のフレックスタイム制の持つデメリット
に拍車がかかるだけではなく、
独自の問題も生じます。

完全フレックスタイム制の導入には
慎重になった方が良いのではないでしょうか?

経験上、完全フレックスタイム制を
導入しようとする会社は社員の自主性を重んじ、
自由な社風の会社が多いです。

社員に懲戒処分などしたこともないし、
したくないという会社が多いです。

しかし、実際に、問題が生じたときに
責任を負うのは会社です。

また、まじめに働いている
社員が困ることも起きます。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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