どの企業でも行っていることと思いますが、中々効果をあげることができない会社が多いようです。
そもそも、従業員教育の究極的目的は何でしょうか?
仕事のできる従業員を生み出し、会社の業績をアップさせること。これに異論はないと思います。
しかし、そもそも「仕事のできる従業員とはどんな従業員か?」を具体的に説明できるでしょうか? また、従業員が皆、それを理解し、それを目指していると言えるでしょうか?
残念ながら明確になっている会社は少ないのが現実です。
それなら、まず、御社にとって仕事のできる社員をを明らかにすることが最初にすることのはずです。
実は、仕事で高い業績や成果を上げた人(仕事のできる従業員)には共通する行動特性があります。この仕事で高い業績や成果を上げた人(仕事のできる従業員)に共通する行動特性のことをコンピテンシーと呼びます。
「なぜ、同じ知的水準にあるのに、業績に差が生じるのか?」
誰もが思う疑問です。このことを明らかにする研究がアメリカで行われました。最初の研究は外交官に対して行われたそうです。なぜなら、外交の失敗は直で戦争につながってしまうからだそうです。
外交官として仕事ができる・できないの差はどこにあるのかの研究が行われた結果、業績の高い者にはいくつか共通の行動特性があることが明らかになったのです。
仕事のできる人が持っている行動特性があるのであれば、仕事ができる社員を増やしていくのは難しいことではありません。
「御社にとって仕事ができる人が共通してとっている行動!」の一覧をつくり、社員を教育していけばいいだけだからです。
それで、会社の業績アップにもつながります。
セミナー講師の例
抽象的な話ではイメージがつかないと思いますので、例えば、セミナー講師を行う際に私が作成したコンピテンシーを例に出して解説します。講師仲間と作成したコンピテンシーの一部です。
セミナー講師として大切なことの一つに『堂々としていること』というのがあります。同じ内容を話したとしても堂々としていないと、説得力がないからです。
しかし、「堂々としなさい!」と言われても、できるものではありません。なぜなら、「堂々としている」ということは、とっている行動ではないので、他の人が再現できないからです。自分でできているかどうかの確認もできません。
そこで、具体例があった方がわかりやすいので、私が堂々としているために取っている行動(仲間とつくったコンピテンシー)を2つ上げさせていただきます。
1.受講して下さっている方1人1人のお顔を見てお話する。
2.90分のセミナーであれば120分の内容をつくっていく。
詳しく解説をさせていただきます。
1.受講して下さっている方一人一人のお顔を見てお話する!
堂々としていられなくなるのは➀「大勢の人」に➁「見られている」と思うからです。ですので、「お一人お一人」のお顔をこちらから観てお話をするのです。
多くの人は、1対1ならお話できるでしょう。大勢の人を相手にするからお話をできなくなるのです。お一人お一人のお顔を観ながらお話をすれば、1対1になります。そして、こちらから見るという意識をもってお話をすれば、観られているとは思わなくなります。これで、堂々としていることができるようになります。
実力のあるセミナー講師が受講生お一人お一人のお顔を見てお話しているのはそういう理由からだと思っています。
2.90分のセミナーであれば120分の内容をつくっていく
セミナーで一番困ることは早目に終わってしまい話す内容がなくなることです。120分の内容をつくっておけば、短縮はできますが、その逆はできません。
90分のセミナーに対して120分の話を用意していれば、受講者の皆様の受けの悪い話はパスして受けの良い話だけお話することもできます。臨機応変に対応できるのです。この話す内容は十分にあるのだという安心感があると、堂々としていられるのです。だから、90分のセミナーであれば120分の内容で作っていくのです。
これは、事前の準備さえしておけば誰でも再現可能です。今回は、私が仲間とつくった一例をあげただけです。更に多くの方の知恵を集めればもっと良いノウハウは出てくるでしょう。「仕事のできる社員がとっている行動は何か?」をまとめ、それに基づいて社員教育を行っていくことは有効だと思いませんか?
インプットを変えなければアウトプットは変わりません。そして、行動を変えなければ結果は変わりません。ならば、コンピテンシーを従業員の行動を改善するために使ってみたらいかがでしょう。それによって結果が変わり業績がアップします。
論より証拠。私がセミナー講師を行った際の評価をご覧ください!
●2012年1月 東京中小企業家同友会 港支部(千代田支部・中央区支部交流) | |
セミナータイトル「会社に不利益を及ぼすかもしれない就業規則を見直おす」 アンケート集計結果(5段階評価) |
●2013年5月 東京中小企業家同友会 品川支部
セミナータイトル「会社を守る就業規則VS会社を潰す就業規則」 アンケート集計結果(5段階評価) |
私がこのようなありがたい評価をいただけたのはコンピテンシーをつくり、具体的な行動を変えたからです。今でもコンピテンシーをブラッシュアップしております。
コンピテンシーの問題点
しかし、そんな効果抜群のコンピテンシー作成にもやはりいくつも問題があります。
小さな会社がぶち当たる壁。それはコンピテンシーを作成するには時間とお金がかかることです。外資系コンサルに作成していただくと、少なくても数百万円のお金がかかります。
仮に、金銭的な問題はクリアできたとしても、コンピテンシーの作成には大変な時間がかかります。1年かかっていては毎年更新することなどできません。これは、大きな問題となります。
では、リーズナブルに、しかも、短期間で作成する方法はないのでしょうか?
実はあります。コンサルタントが作成するのではなく自社の社員に作成してもらえば良いのです。その補助を専門家がするという形で関わればお金もかかりません。しかも、1日(又は半日の研修を2日)でできます!
実は、この方法は最も合理的な方法です。そもそも、仕事ができる人の行動特性とは、御社で仕事のできる人の行動特性でなければなりません。他の会社で仕事ができたからといって、御社で仕事ができるとは限りません。
そうであれば、御社の仕事をよく知らない外部の人間が作成するよりも、自社の従業員が作成するのが1番なのです。御社にとって仕事のできる人の行動特性を明らかにしないと、ほとんど意味のない役に立たないコンピテンシーが出来上がります。
きちんとしたノウハウが確立されているので、やり方は明確で簡単です。1日、2日の研修という形なので費用も安く押さえられます。特に、規模が小さな会社・業績が上がらずに困っている会社にとっては抜群の効果が得られます。
従業員参加型コンピテンシー作成のメリット
この従業員の皆で作成するという方法には他にもメリットがあります。
メリット1: コミュニケーションが促進します
「仕事ができる人の行動特性とは何か?」を皆で話し合うために、従業員同士、上司と部下のコミュニケーションが図れます。その結果、職場の人間関係もよくなります。
メリット2: モチベーションアップします
自分たちで作成したということで、やる気・モチベーションアップにつながります。主体的に仕事に関与するようになります。仕事のできる社員がとっている行動特性とは何か?を考える時間を1年に1回でもとることはコミュニケーションも促進されるし、モチベーションもアップします。しかも、単なるモチベーション研修とは異なり、モチベーションアップは副次的なものであって、本来の目的は会社の売上アップです。
メリット3: 評価基準としても使用可能できます
このコンピテンシーは社員教育にも使えます。しかし、これを使って賞与などの評価基準にすることもできます。仕事のできる人がとっている行動特性なので、行動をしているか否かは評価しやすいです。評価する人によって変わるものではなくなります。
メリット4: 社員が定着します
仕事ができるようになると仕事が楽しくなり自主的に仕事をするようにもなります。しかも、 その会社での『仕事のできる行動特性』であるために優秀な従業員が辞めていきません。その結果、従業員が定着します。「中小企業は、大きな会社へ転職するステップに過ぎない」と仰る経営者の方がいます。
「お金をかけて、高度な研修を受けさて、能力が身についたら、他の会社へ転職された」と悲しそうに相談されることもあります。しかし、このコンピテンシーは、御社にとって仕事のできる社員の育成ですから、そのような心配が少ないです。むしろ、仕事ができるようになればなるほど、会社を辞めたくなくなります。
メリット5: 社内ノウハウの共有化
社員がバラバラに持っていたノウハウを全社員に共有化するとどうなるでしょうか?業務が効率化し、経費が削減され、売上が上がる!これに疑いはないはずです。どの会社にも成果をあげている社員は複数いるはずです。後輩社員を育てているはずです。しかし、それが中々うまくいってないのであれば、ぜひ、コンピテンシー研修を導入してみて下さい。