就業規則の周知とは ~就業規則をインターネットで公開する必要がある?
当事務所のホームページには
「会社名+就業規則」で検索して
お越しになる方がいらっしゃいます。
しかも、かなり多いです。
『〇〇株式会社就業規則』などです。
■2022年10月13日追記
現在は、ほとんどの検索キーワードが確認できません。
検索された会社の就業規則をご覧になりたい方が
どのような方かまでは私にはわかりません。
その会社に所属している社員の方かもしれません。
会社を辞められた方かもしれません。
入社を希望している方かもしれません。
しかし、いずれにせよ、会社の就業規則 は
インターネットで公開するものではありません。
WEB上で公開してはいけない
というわけではありませんが、
インターネット上での公開は
法律上求められてはいませんし、
また、就業規則はそういう性質のものでもないのです。
そもそも、就業規則とは何か?
冒頭で就業規則はインターネット上で公開するものではなく
また、そのような性質のものではないと書きました。
それは、「就業規則とは何か?」に関係します。
厚生労働省が出している就業規則のモデル規程の第1条には以下のような条文があります。
(目的)
第1条 この就業規則(以下「規則」という。)は、労働基準法(以下「労基法」という。)第89条に基づき、株式会社の労働者の就業に関する事項を定めるものである。
御社の就業規則の第1条辺りに就業規則
の目的という条文があると思います。
例えば、当社労士事務所が作成する就業規則には次のような1文を入れます。
第1条(目的)
この規則は、〇〇株式会社(以下「会社」という。)の労働条件を明らかにすること
及び職場秩序の維持を目的として、従業員の就業に関する基本的事項を定めるものである
これを見ても分かる通り、
就業規則とは労働条件・就業に関する基本的事項を定めるのものです。
就業に関する基本的事項=就業上のルールです。
ですから、その契約内容、会社で働くルールを従業員の方が
きちんと認識でるようにしておくことが大切であって
また、それで足りるのです。
社員と会社の労働条件を一般に公開する必要はないですし、
働く上でのルールも同様です。
働いている社員に周知する必要はありますが、
全く関係のない部外者である第三者に
公開する性質ものではないのです。
会社が自社のことを知ってもらいたくて
一般に公開してもよいですが、
社員の労働条件や社員の就業に関する基本的事項を
検索すると出てくる状態に置く性質のものではないのです。
就業規則の周知義務
ただし、ご存じのように就業規則は労働基準法106条で
労働者に周知しないといけないことなっています。
就業規則とは何かを考えれば当然ですよね。
労働条件や働くうえでの基本的事項を社員が知らない・・
それはありえません。
そして、その周知方法は労働基準106条で具体的に定められています。
就業規則の周知方法
労働基準法106条は以下の通りとなっています。
(労働基準法第106条)法令等の周知義務
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第十八条第二項、第二十四条第一項ただし書、第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、第三十八条の三第一項並びに第三十九条第四項、第六項及び第七項ただし書に規定する協定並びに第三十八条の四第一項及び第五項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
条文が長すぎるので、整理すると以下の通りとなります。
常時各作業場の見やすい場所へ掲示 |
常時各作業場の見やすい場所へ備え付けること |
書面を交付 |
その他の厚生労働省令で定める方法 |
その他の厚生労働省令で定める方法とは、
「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、
かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する」
ことです(労働基準法施行規則52条)
ポイントは、上記のいずれかで良いのです。
会社に備え付けられていれば
それで周知しているといえます。
従業員の皆様に1部づつお渡しする
のが1番だと思いますが、
法律上はそこまでも求められておりません。
従業員の方々が閲覧できる
ようにしておくことが必要なのであって、
また、それで足ります。
今回のお話は当たり前のお話だったかもしれませんが、
誤解していらっしゃる方が多いようですので
詳しく解説させて頂きました。
就業規則とは何かから抑えておいていただければと思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。