就業規則とは何か?わかりやすく説明します。~何を書ものかご存じですか?
そもそも就業規則とは何でしょうか?
実は、労働基準法には就業規則の作成義務は定められておりますが、
就業規則の意味(定義)は書かれておりません。
労働基準法90条
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
就業規則が何かについては労働契約法7条を
ご覧いただくとわかりやすいと思います。
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
就業規則とは何か?という定義が直接
書かれているわけではありませんが、
就業規則とは労働条件、社員が守るべきルールを定めた
会社と労働者全体の契約書と言えることがわかると思います。
雇用契約書があるではないか?
そうお考えの方もいらっしゃるかと思います。
雇用契約書 | 労働者個人と会社の契約書 |
就業規則 | 労働者全体と会社の契約書 |
このように対比するとわかりやすいかもしれません。
あくまでもイメージです。
( わかりやすさを優先させているために、
多少厳密さにかける点はご了解ください )
就業規則は法律を書くものではない!
しかし、就業規則とは法律の内容を書くものだと
思っていらっしゃる方がいます。
確かに、就業規則に記載しないといけないこと
が法律で定められています。
絶対的記載事項といわれるものです。
労働基準法89条に規定があります。
労働基準法第89条
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2.賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
3の2. 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
4. 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
5. 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
6. 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
7. 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
8. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
9. 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
10. 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
上記に定められている年次有給休暇などは
就業規則に定めなければなりません。
休暇について明確でないとトラブルになるからです。
しかし、就業規則は 労働基準法を
書くものではないのです。
就業規則にないか確認して欲しい1文
御社の就業規則の1条~3条までに
次のような内容の条文がないかを
チェックしてみてください。
「この就業規則に記載のない事項については
労働基準法その他の法律による」
この条文がある就業規則は、
就業規則には法律を書くものではない
(契約の内容を書くものである)
ということをご理解していないで
作成された可能性があります。
危険な就業規則の可能性があります。
考えてもみてください。
就業規則に記載があろうがなかろうが、
法律を守らなければなりません。
記載するのは労働条件、及び社員守るべきルールなのです。
就業規則に記載しなければならない事項
が漏れていてはいけないという理由から
記載しているのかもしれませんが、
最初から漏れがないように記載
すればよいだけです(就業規則89条)
もし、この条文がある場合には、
御社の就業規則が従業員の皆様との契約書
といえるものになっているかどうかを
チェックしてください。
危ない就業規則ではないことを
きちんと確認してください。
単にこの条文を削除すればよい
というものではありません。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。