休職期間を短縮することはできますか?

休職期間を1年としている会社は
想像以上に多いです。

大企業にお勤めになっていた経営者の方が
前に働いていた会社の就業規則を参考にして作成した
など様々な理由があるようです。

しかしながら、大企業でもない限り
1年の休職期間は不可能でしょう。

そこで、もう少し短くしたい
というご相談を受けることがあります。

「1年の休職期間を6か月にしたい。いや、
休職制度を廃止にしたい」と思っても

就業規則を従業員の不利益に
変更することになり

従業員(全員)の同意が
必要ではないか?

そうお思いになる経営者の方が
多いようです。

いわゆる就業規則の不利益変更です。

就業規則の不利益変更について

しかしながら、仮に従業員個々人の同意を
得なくてもその内容に合理性があれば、

就業規則は不利益に変更できる
ことになっています。

なお、就業規則の不利益変更については
以下のページでかなり詳しく書いております。
就業規則の不利益変更について

そこで、「休職期間の短縮に合理性があるかどうか?」
が問われます。

休職制度は会社にとって
維持することが困難であれば、

仮に1年の休職期間を短縮することも
場合によっては休職期間を廃止することも
合理性があるといえる場合はありえます。

従業員の皆様の反発を受けることなく
ご説明できることはできるでしょう。

確かに、休む側からの話となると
休職期間の短縮となります。

「とんでもない話だ!」となるでしょう。

しかし、例えば従業員が少ない小さな会社では
一人休んだ場合に代替要員としての従業員を
雇っている余裕はないと思います。

しかも、その社員が休んでいる間だけ
人材を確保できるでしょうか?

そう考えると、休んでいる人の仕事を
他の従業員がその期間中頑張って
行わないといけない期間になります。

つまり、周りの皆さんで休んでいる人の仕事を
助け合う期間となります。

その期間はどの程度が妥当でしょうか?

1年でしょうか?

従業員数が数千名の会社と数名の会社では
事情が違っているのですから、

結論が違ってきて当然ではないでしょうか?

柔軟に対応できるように規定しておきましょう

休職の期間を〇か月等と明確にし
社員の権利として規定している就業規則は多いです。

しかし、休職を認めるべきではないケースもあるでしょう。

場合によっては短くする必要もあるかもしれませんし、
長く認めることもあった方が良いかもしれません。

柔軟に対応できるように
規定しておくのが1番なのではないでしょうか?

そうすれば、不利益変更の問題も生じないですしね。

休職制度は就業規則への記載が必要です

なお、言うまでもないことですが、
休職制度を設ける場合には就業規則への記載が必要です。

労働基準法第89条1項10号をご覧ください。

(作成及び届出の義務)
第89条 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一~九 省略
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

この10号には「一部の社員の適用になることであっても、
全ての労働者が適用を受ける可能性があるものも含まれることになっています。

したがって、休職制度も就業規則への記載が必要です。

就業規則に特化した専門事務所として
膨大な就業規則を見てきましたが、

会社の休職(復職)制度を就業規則に
正確に反映できている企業は本当に少数です。

一言一句、正確に表現するようにしてください。

もし、不安があるようでしたら、
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最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

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