法定休日とは何かご存知ですか?~就業規則への定め方で割増賃金が違ってきます
休日と法定休日の区別がついてない
就業規則は意外と多いです。
基本的なお話ですが、
法定休日と法定休日ではない会社の所定休日
で割増賃金の支払い額が違うのをご存知でしょうか?
法定休日
=1.35の支払いが必要
法定休日ではない休日(法定休日以外の休日)
=1.35の支払いは必要ではない
となっています。
当事務所が就業規則の改定作業をご依頼いただい際に
このように、両者の違いをご説明すると
ご存じのない会社様がけっこういらっしゃいます。
とても大切なことですので詳しく解説します。
法定休日とは何か?
法定休日とは法律で与えないといけないとされている休日です。
労働基準法35条に規定があります。
(休日)第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
週1日の休日(4週4日の休日)を
会社は与えないといけないとされています。
この法律上与えることが義務付けられている休日を法定休日と言います。
労働基準法35条の休日に対してだけ
1.35(3割5分増)で賃金を支払う必要があります。
本来、それ以外の休日は国民の祝日も含めて
与えくてもかまいません。
ほとんどの会社は週休二日制にしている理由は、
1日の所定労働時間を8時間としていることから、
週休二日制にしないと週40時間(法定労働時間)を超えてしまうからです。
法定休日を特定する必要はあるのか?
ちなみに、法定休日を会社は就業規則等で特定する必要があるのでしょうか?
通達で法定休日を特定することが望ましいとされています。
(平成21年5月29日基発第0529001号)
「法的な義務ではないんですね」
「法定休日を何曜日にするか特定することが義務付けられていないなら、
就業規則に記載しなくてもよいのでは?」
そうお考えになる方がいるようですが、以下の通達が出ています。
第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい。(昭63・3・14 基発150号)
上記のように、行政指導の対象になります。
しかし、法的な観点ではなく実務的な観点から考えても、
法定休日は特定した方が良いでしょう。
法定休日が決まっていないと、
時間外労働を計算するのが複雑(面倒)になるからです。
割増賃金の計算が面倒になるだけではありません。
月の時間外労働は36協定の範囲内の時間数におさえないといけませんが、
法定休日を特定していないとその判断(範囲内か否か)にも支障をきたします。
法定休日は時間外労働ではないので、
時間外労働のカウントに入れなくてかまわないのですから、
予め法定休日が特定されていた方が時間外労働の時間数の予測に良いですよね。
時間外労働の上限規制 ~45時間超えの月が12か月可能という盲点
ただでさえ、複雑な労働時間のカウントです。
それを自社でより複雑にするのはやめた方が
良いのではないでしょうか?
会社所定の休日の賃金はいくら支払う必要があるのか?
では、法定休日ではない休日(会社所定の休日)
は1.35で支払う必要がないのであれば、
どのような扱いになる(いくら払う必要がある)のでしょうか?
会社の所定休日に働かせた場合に、
週の法定労働時間を超えていれば、
時間外労働と同じ扱いになりますので、
1.25(2割5分増)の支払いが必要になります。
法定労働時間を超えていなければ
通常の賃金(時給単価)の支払いでかまいません。
所定休日の割増賃金の具体例
具体例でご説明した方がわかりやすいと思いますので、
具体例を挙げてご説明します。
1日の所定労働時間が8時間で、
土日祝日が会社の休日で、
日曜日を法定休日としている会社だとします。
上記の会社がゴールデンウィーク中に、
社員を土曜日(8時間)働らかせたとしても、
週40時間は超えないですよね。
したがって、通常の賃金(時給単価)の支払いでかまいません。
しかし、日曜日に働かせたとすると1.35(3割5分増9
での支払いが必要になります。
上記の会社が祝日のない週の土曜日に
社員を働かせた場合には、週40時間を超えます。
したがって、1.25の支払いが必要です。
法的知識を踏まえたうえで就業規則を作成しましょう
今回のお話はご存じの方にとっては当たり前のことだったかもしれません。
しかし、冒頭でもお話をしましたが、
当事務所が就業規則の改定作業をご依頼いただい際に
このようにご説明するとご存じのない経営者・実務担当者様
がけっこういらっしゃる個所です。
しかも、そのようなお客様の中には
「専門家に就業規則を作成してもらったことがある」
という方もいらっしゃってビックリします。
「その専門家にはご説明は受けなかったですか?」とお聞きすると
「説明は受けませんでした」とのことです。
「基本的なことを説明するのは失礼だ」
と考えてご説明しなかったのかもしれませんが、
基本的なことであっても10個あれば、
かなり詳しい経営者・実務担当者であっても
1つや2つご存じのないこともあります。
私の経験上、会社として知っておいてほしい10の制度があったときに
10の全てをご存知という方はほとんどいらっしゃいません。
失礼のないようにご説明するべきだと私は思っております。
特に、法定休日の知識は、
割増賃金の総額にかかわってきます。
また、時間外労働時間の上限規制の関係でも
極めて重要な知識です。
法的知識をきちんと踏まえて
就業規則の定めをすることが大切です。
今回の記事では、法的知識の基礎をわかりやす
くお伝えしようとしましたが、
記事で触れた内容だけでなく、
ご存じのないことがあるかもしれません。
誤解や不明点を残さないように、
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最後まで。お読みいただきありがとうございました