住宅手当に残業代を支払わないといけない場合もあります

住宅手当は誤解されている
手当の1つだと思っています。

一定の住宅手当は割増賃金の算定の基礎
に入れなくても良いことになっていますが、

非常に多くの会社が住宅手当に対して
割増賃金を支給しなといけない形になっています。

実際に、割増賃金を支給しないといけない
住宅手当になっている会社の経営者に
そのことをお伝えすると、

「えっ?住宅手当は割増賃金を支払わないで
良いのではないですか?」

ビックリなさいます。

「福利厚生のつもりだった」

「いやいや、住宅手当に割増賃金を
支払わないといけないのなら、制度を設けなかった」

そのように仰る会社も多いです。

確かに、住宅手当は判断が少し難しく、
納得がいかないケースも多いかもしれません。

そこで、今回は、住宅手当に対して
割増賃金を支給しないといけないケースと
その理由について解説します。

割増賃金の算定基礎から除外して良い手当

基本的に、全ての賃金は割増賃金の計算の際に
算定に入れないといけないのですが、

割増賃金の算定基礎にいれないで良い手当があります。

しかし、その手当は決まってます(限定列挙)。

以下のいずれかだけです。

割増賃金の算定基礎から除外して良い手当一覧

家族手当
通勤手当
別居手当
子女手当
住宅手当
臨時に支払われる賃金
1ヶ月を超えて支払われる賃金。

これ以外は認められません。

詳細は以下の記事をご覧ください。
割増賃金を計算する際に算定基礎から除外して良い手当は決まってます

しかし、これらの手当の全てが割増賃金の算定基礎から
除外して良いかというとそうではありません。

割増賃金の算定基礎から住宅手当を除外して良い理由

住宅手当も同様でです。

住宅手当という名称がついていたら、
全て割増賃金の算定基礎から除外して
良いわけではありません。

その判断は「なぜ、住宅手当を割増賃金の算定基礎にいれないで
良いか?」という理由から考えるとわかりやすいです。

住宅手当を割増賃金を計算する際に入れてしまうと、
どうなるでしょうか?

高い住宅に住んでいる従業員ほど、
時間外や休日の時給単価が高くなります。

これはおかしいですよね。

高い住宅に住んでいる従業員の方が
住宅手当がが高くなるのはわかりますが、

1時間残業した場合の時給単価が
高い住宅に住んでいる人ほど高くなる
のはどう考えてもおかしいです。

そこで、割増賃金の1時間の単価を計算する際には、
その算定基礎に住宅手当は含めないでよいことになっているのです。

住宅手当を割増賃金の算定基礎から除外して良いケース

したがって、割増賃金の算定の基礎から
除外する賃金として認められるためには、

「住宅に要する費用に応じて」
住宅手当の金額を決定していることが条件になっています。

例えば、「賃貸の場合には賃料の3割を支給する」とすれば、
割増賃金の算定に入れなくてよくなります。

「住宅に要する費用に応じて」支給額が決まっているからです。

他にも、以下のように段階的に支給しても構いません。
月額5~8万円の者には1万円
月額8万円以上10万未満の者には2万円
月額10万円以上は3万円

住宅手当を割増賃金の算定基礎から除外してはダメなケース

逆に、住宅以外の要素(扶養家族の有無・世帯主か否かなど)で、
住宅手当の金額を決定している場合は、
「住宅に要する費用に応じて」となりませんよね。

ただ、私が見てきた限り、世帯主か否かによって
住宅手当の額自体を決定している会社が多いです。

その場合、残念ですが、
割増賃金の計算の基礎となる賃金から除外できません。

ただし、以下のような支給の場合、
一部、割増賃金の算定基礎から除外して良い
住宅手当とすることができる可能性が高くなります。

第○条 住宅手当は次の区分に従って支給する。
(1)世帯主(扶養家族あり)・・住宅費用の30%
(2)世帯主(扶養家族なし)・・住宅費用の20%
(3)非世帯主・・住宅費用の10%

このような場合、住宅以外の要素で住宅費用が決定しているので
割増賃金の算定基礎に入れないといけませんよね。

ただ、全社員共通の10%は割増賃金の算定基礎に入れないで良い
とされる可能性が高くなります。

10%の部分は世帯主かどうかという
住宅以外の要素で支給されているわけではなく、

「住宅に要する費用に応じて」支給
されていると言えるからです。

ただし、このような複雑な制度に
している会社は少ないですね。

おすすめもできません。

割増賃金の算定基礎から除外するという点だけなら、
扶養家族の要素は住宅手当から外して、
家族手当として法的にも整備する方が良いからです。

社員の皆さんにも説明しやすいと思います。

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最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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