清掃業(ビルメンテナンス)の就業規則 ~セキュリティ対策・残業代等の必要性

私は学生時代に友人とオフィスの掃除のアルバイトをしていました。

ポリッシャーなどをかけてその後ワックスを塗る床清掃です。
ビルメンテナンスの仕事ですね。

かなり長いこと働きました。

本当に色々な方がいらっしゃいましたね。

実際に長いこと働いていた経験から
今から考えて強く思うことがあります。

それは、多くの清掃業者(ビルメンテナンス業者)は
「会社としてのリスク管理が不十分なのではないか?」
ということです。

開業してからもご相談を受けることがありますが、
企業間での差が非常に激しい業界だと感じます。

今回は、ブルメンテナンス業(掃除会社)
のリスク管理(セキュリティ対策)をお話させていただきます。

また、近年の社会情勢の変化から
未払い残業代の問題も生じますので、
その部分も触れさせていただきます。

清掃業者(掃除会社)のリスク管理の脆弱性

当たり前ですが、オフィスの清掃は企業に入って掃除をします。

つまり、お客様の会社で掃除をする仕事ですのです。

通常は、誰も立ち入ることができない場所に
立ち入ることもあります。

例えば、社長室などです。

いや、普段もっと入ることができない場所
に立ち入ることもありますよね。

それがどこかはあえて申し上げませんが、
清掃会社の経営者であればご理解いただけるはずです。

場合によっては、一人のこともあるでしょう。

とても重要で責任の重い仕事です。

しかし、入社時に誓約書をとられたことがありません。

労働条件通知書なども今から考えると
本当に最低限必要なことしか記載してありませんでした。

また身元保証人などを要求されたこともありません。
就業規則を見せてもらったことなどありません。

そもそも、存在していないようです。

とても悲しい現実ですが、世の中悪いこと
をする人もいらっしゃいます。

もし、悪いことをした従業員が出てきてしまった場合、
どうするのでしょうか?

清掃会社は中心となる大きなクライアント様
がいる場合が多いでしょう。

そこの信頼を失ってしまい契約が切られると
大変なことになるのではないでしょうか?

清掃業に限ったことではありませんが、
お客様の会社にうかがって仕事をする業種に関しては
厳しすぎると感じるぐらいのリスク管理を
する必要があると思います。

警備業と同じぐらいのリスク管理を
行っておくべきではないかと思います。

清掃業者(掃除会社)のリスク対策

誓約書の提出は抑止効果にもなります。

会社が従業員の不法行為によって損害を受けた場合には
損害賠償を請求することもあありえる。

そんな当たり前のことを説明するだけでも
結果は違ってきます。

本人に請求しても意味がない場合も考えられますので
身元保証人もつけましょう。

今回は詳細を記載するのは避けますが、
身元保証人をつける際のポイントは3つです。

また、会社としての姿勢を示すためにも、
就業規則の作成も必須だと思います。

■就業規則は会社及び真面目に働く従業員を守るためにも整備が必要

それに違反した場合には厳正な姿勢で
挑むことができます。

それに、99.9%の従業員は真面目です。

しかし、たった一人の不届き者がいるだけで大変なことになります。

たった一人で会社を救った社員というのは滅多に聞きませんが、
たった一人の社員の問題行動で会社が傾いたというのはよくある話です。

清掃業(ビルメンテナンス業)に関しては、
業務の性質上、就業規則の作成が会社を守る
ために必須だと思っています。

最近は、大分事情が変わってきたようですが、
それでも整備が遅れている会社は少なくないと感じます。

就業規則は従業員数が10人になったから
仕方なく作成するものではありません。

会社はもちろんのこと、真面目に働いている従業員をも
守るために作成するものなのです。

就業規則をはじめとした法的な書類を見せられ
ご説明をすることが本当に有効です。

「この会社はきちんとしている」
そう思ってもらえるようにしましょう。

実際に、問題が起きてからでは遅いのですが、
実際に何か問題が生じたのであれば、
それからでも着手しましょう。

1度でも問題が起きたということは
根っこに問題があります。

「たまたま今回だけのレアケースだ」と
お考えいただかない方が良いと思います。

清掃業者は未払い残業代が生じやすい業種です

実は、ビルメンテナンス業は
セキュリティ以外にも問題が生じます。

特に、割増賃金の支払いに注意が必要です。

よくある注意点を2点挙げます。

➀副業として働いている方の割増賃金

ビルメンテナンス業は副業で働いている方が多い業種です。

当然、本業の会社と副業先で業務を行った場合、
1日8時間週40時間を超えることがあります。

その場合には、割増賃金を支払う必要があります。

副業は、本業の会社よりも後に雇用契約を結ぶことになるので、
副業先が割増賃金を支払う必要があるケースが出てきます。

一体何をいっているのだかわからないという方は
以下の記事をご覧ください。

副業で多く寄せられる相談(事例) ~副業の推進に関するガイドライン改定で、副業について殆どの問題に対処可能になりました

➁深夜労働に対する割増賃金

また、ビルメンテナンスは昼だけではなく
深夜に仕事をする会社も多いですが、
深夜の時間帯は深夜割増の支払いが必要です。

たまに、1日8時間を超えなければ、
支給しなくてよいのでしょう?

そのような誤解をしている方がいらっしゃいますが、
それは時間外労働と深夜労働を誤解しています。

時間外労働は時間数の話で
深夜労働は時間帯の話なので全く別の話です。

1日8時間を超えていなければ、
深夜割増は1.5ではなく1.25で
計算して割増賃金を支払えば足りますが、
深夜割増を支給しなくてよいわけではありません。

最初から深夜に働くことを想定しているのであれば、
きちんと深夜割増が含まれていることを明記すべきです。

ちなみに、「基本給に含まれている」
とご説明をしている会社も多いと思いますが、

法的に有効とされるためには、
基本給(本来の時給単価)と割増部分を
分けて雇用契約書で示す必要があります。

例)基本給〇〇円(うち深夜割増〇〇円)

上記のように記載することが必要です。

御社は大丈夫でしょうか?

単に雇用契約書を整備し社員に
ご説明するだけでよいのですから、
きちんと行うようにしてください。

ビルメンテナンス業の就業規則 まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、セキュリティ対策と
割増賃金の問題を中心に解説しました。

今回、解説した内容は就業規則
及び雇用契約書等を整備してさえいれば済む問題です。

他にもパートタイマー・有期雇用労働者
の扱いなどの問題(雇止め等)もありますが、

こちらの問題は多くの企業が対応していますので、
今回は、触れておりません。

ぜひ、対策を講じてください。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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