就業規則作成の時期・タイミング(いつ作成するのが良いか?)~就業規則作成の義務との関係
いつ就業規則を作成するのが良いですか?
本当に、よく頂くご質問です。
今回は、いつ就業規則を作成するのが良いか?
について思うところをお話をさせていただきます。
当事務所は就業規則の専門事務所ですので、
(事務所業務の99%を就業規則関連業で占めます)
お役に立てると思います。
就業規則作成のベストなタイミングはトラブルが生じ始めたときです
「いつ就業規則を作成するのが良いか?」
このご質問に対する私の回答ははっきりとしています。
会社が社員とトラブルが起き始めたときです。
そもそも、就業規則の目的が
トラブル回避の目的から作成するものなので当然です。
あれっ、社員が10人になったときじゃないの?
そう思われた方も多いと思います。
おそらく、労基法89条のご関係からだと思います。
以下が労働基準法第89条です。
(作成及び届出の義務)第89条 常時10以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
確かに、法律上、10人以上の会社は労働基準法89条で
就業規則作成の義務があります。
しかし、なぜ、10人以上の従業員を雇用している会社が
法律上、就業規則を作成することが義務になっているのかというと、
従業員数が10人以上になると労使トラブルが
起き始めるということが経験上わかっているからです。
つまり、第89条の立法趣旨はトラブル防止と言ってよいのです。
その証拠に、労使協定は社員数が1人から必要です。
労使協定はトラブル防止ではなく
法律の原則に対する例外を認める制度なので1人から必要なのです。
以下の記事をお読みください。
労使協定とは何かわかりやすく解説します~就業規則との違いをご説明できますか?
しかし、10名未満であっても、
社歴が長くなり会社が成熟期に入った場合、
やはり、トラブルが生じ始めます。
当事務所には二代目社長の会社様からの
ご相談が多いのが特徴ですが(5割を超えます)、
やはり、10名未満であってもトラブルが生じて、
当事務所にお越しになる会社様が多いです。
また、社歴に関係なくトラブルが生じる会社もあります。
就業規則は「社員数に関係なく」お考えいただきたいのです。
就業規則作成義務(労基法89条)との関係はどう考えるか?
しかし、「社員数は関係ない」といっても、
10人になったら作成義務があります。
先ほど、社員数が10名になると
トラブルが生じ始めるとお話をしましたが、
社員数が10人を超えても
全くトラブルが全く生じない会社も当然多いです。
会社でトラブルが全く生じていなくても
作成しなければならなくなります。
そうなると、必要性を感じていないのに
作成しなければならないという状態が生じます。
そのような状態の会社が就業規則を作成すべき場合、
非常に危険なことが起きます。
そこで、注意点のお話をしたいと思います。
就業規則作成の必要性を感じていないからといって、安易に作成すると危険です
そもそも、必要性を感じていなければ「時間」「お金」を
使って就業規則を作成するわけにはいかないでしょう。
そこで、ほとんどの会社様は自社で
ひな形を少し変えて作成します。
しかし、それは本当に危険です。
後々後悔することになりかねません。
トラブル防止の目的で作成する
就業規則がトラブルの元になります。
実際、それで後悔して当事務所にご相談に
お越しになる企業は本当に多いです。
そのような思いをしている企業様からは、
料金を聞かれることなく、
業務のご依頼を受けることも
めずらしいことでもありません。
それだけ、後悔しているということだと思います。
ですので、この記事をお読みの方には、
最初の段階からきちんと精査して作成いただきたいのです。
それが当事務所の心からの願いです。
就業規則の作成に時間もお金もかけられないときは?
しかし、そうは言っても、
特に、必要性を感じていないのであれば、
就業規則の全般について1条1条精査して
作成するのは難しいでしょう。
その場合は、どうしたら良いでしょうか?
全ては無理でも、労働条件の部分だけでは、
必ずきちんと精査して作成してください。
具体的には、労働時間・休憩・休日、割増賃金、賃金です。
なぜなら、これらの部分は会社にとって
極めて重要な部分にもかかわらず、
後から変更するのが非常に難しいからです。
不利益変更の問題が生じます。
不利益変更について以下の記事をお読みください。
従業員の労働条件を就業規則で従業員の不利益に変更することはできるのか?
就業規則の変更のタイミング
今回は、初めて就業規則を作成する
タイミングについて話してきましたが、
今ある就業規則を変更するタイミングについては、
どう考えたらよいでしょうか?
結論から言うと、1日でも早い方が良いです。
就業規則の変更は不利益変更になるケースが出てきます。
しかし、これから入社してくる社員には
新就業規則が適用になることに全く問題がないからです。
就業規則作成のタイミング まとめ
今回は、就業規則作成のタイミングについて
お話をさせていただきました。
いかがだったでしょうか?
就業規則作成のタイミングを一言でいえば、
作成の必要性を感じたときということだと言えます。
ただ、必要性を感じていなくても、
法律上の義務として就業規則を
作成しなければならない会社様もあり、
その場合の注意点もお話をさせていただきました。
今回、できるだけ具体的な例を挙げつつお話をさせていただきましたが、
会社の具体的な事情に合わせた記事を書くのは限界があります。
御社の具体的な事情に応じて相談に乗ってほしいという場合、
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最後まで、お読みいただきありがとうございました。
執筆者
特定社会保険労務士 小嶋裕司
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