雇用契約書と就業規則どちらが優先されるか?~大きな誤解
御社の就業規則はきちんと内容を
把握してらっしゃるでしょうか?
「うちの会社は雇用契約書をきちんと交わしているから
就業規則は詳しく把握してないけど、大丈夫だよ」
そう仰る方がいます。
御社はいかがでしょうか?
実は、この考え方はとても危険です。
就業規則と雇用契約書の内容が異なっている場合は、
決まりごとがあります。
就業規則と労働契約の関係については
労働基準法93条に規定があります。
本当に重要な条文です。
まず、ざっとで良いのでご覧ください。
労働基準法93条(労働契約との関係)
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第12条の定めるところによる。
以前は労働基準法93条に規定があったのですが、現在は、労働契約法12条に移されています。
労働契約法12条は以下の通りです。
労働契約法12条(就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
労働契約法12条によると、
従業員にとって就業規則の内容より
不利な雇用契約書の内容はその部分については無効となります。
つまり、就業規則よりも不利益な雇用契約書
は「その部分は」無効になるのです。
そして、単に無効になるだけではなく
就業規則の内容が適用されます。
つまり、就業規則が優先されるのです。
だから、就業規則は極めて重要なのです。
就業規則よりも不利益な労働契約とは具体的にはどのようなものか?
具体的に見てみましょう。
例えば、就業規則に「主任には役職手当を3万円支給する」
となっていたら、
雇用契約書で「(あなたは主任ですが)役職手当は支給しません」
と規定しても無効になります。
就業規則の基準に達しない雇用契約
(就業規則の内容よりも不利益な雇用契約)
の内容は無効だからです。
そして、就業規則の役職手当の規定が適用になります、
したがって、や育職手当3万円を支給しないといけません。
しかし、その逆は認められます。
つまり、就業規則に主任には
役職手当は支給しないことになっていたとしても
頑張っている主任に主任手当を支給する
雇用契約は法的には認められます。
就業規則よりも有利な内容の雇用契約
は有効だからです。
このような契約のことを個別特約と言います。
個別特約を設ける場合は、
条文を就業規則に入れておきましょう。
就業規則を作成する際には就業規則とは何か?
と絡めて覚えておいていただきたいことです。
仮に就業規則に入っていたとしても内容を理解していなければ
意味がありません。
就業規則と雇用契約書の関係はとても大切ですので
この機会に、完全にマスターしてください。
この両者の関係は、就業規則の不利益変更など様々な場面で登場します。
御社では区別がついているでしょうか?
もし、「詳細は雇用契約書で定める」と就業規則で
定めることのメリットとデメリットがあやふやな方は、
早急に身近な就業規則の専門家に
ご相談することをお勧めします。
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お役に立つことができるのではないかと思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
執筆者
特定社会保険労務士 小嶋裕司
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